2008年11月05日

友禅講習

京友禅は、図案から始まっていくつもの工程を幾人もの職人によって完成させて行きます。私の仕事は数ある工程の彩色部門、つまり、糸目を置かれた図案に配色を考えながら色を挿してゆく仕事です。20代で初めて工房に入った頃は、仕事場には彩色前の反物が山積みになっていて、師匠のもとには若い職人が10人くらい忙しく働いていました。生活様式の変化から着物離れが進み、、プリントの技術が進み、、、手描友禅の着物の需要は急な坂を転がるように少なくなっていきました。あの時の工房の仲間は次から次へと転業してしまって、今でも続けているのは、、、あらま、私だけになってしまいました。

そんな中、今から12年前だったかふとしたきっかけで通い始めたのが、京都市染色試験場(当時の名称)の「本友禅技術者講習」でした。京友禅のいろんな工程で働く職人にすべての流れを把握してもらうというのが目的の講習会なので、受講生は図案家あり、糸目置・彩色・金彩の職人あり、悉皆業、問屋の若旦那あり、、年齢も様々な28人が、仕事を終えてから講習を受けること週3日の3ヶ月・・・講師として、その道の第一人者が惜しげもなく技を伝授してくれました。

この講習会で全工程を把握できたこと、いろんな工程の友人が出来たことが、今猫額を作る上でとても役に立っていることは言うまでもありません。

で、今年の講習会を聴講してきました。

というのも、猫額で一番苦労する金彩技術をもう一度きちんと修得したくなって・・・・試験場に電話したところ、幸い「今年の講習会の最終3日が金彩講習で、自由に見学していいですよ」との返事をいただけたからです。ということで、先週月水金は仕事を終えてからにわか学生を気取ってきました。やはり長い間金彩一筋にがんばってきた講師の職人さんの技は見事。。。思い込みと自己流で進んできた事を深く反省した3日間でした。

近年、受講資格資格として友禅業従事者だけでなく、デザイン業従事者や美大生枠も設けられたためか、受講生はおしゃれで器用な若い女性が多く、初めての友禅体験とは思えないほどきれいに作品を仕上げていました。今回の講習で、何かを表現するにはみずみずしい感性や独創性はもちろん欠かせないけれど・・・確かな技術も必須であることを改めて確認し、もっと勉強したいと真剣に思いました。そして、友禅以外の技もどんどん習得していくだろう無限の可能性を秘めた若い受講生に、かすかな嫉妬心を抱いてしまいました。無為に過ごしてきた長い長い時間が悔やまれます。

神様、、、美貌は戻らなくていいですから(最初から無いか。。あはは)時間を戻してくださいなんちゃって!ま、それなりにがんばるしかないですね(笑)

Posted by kobechan at 2008年11月05日 00:48
Comments

小紅オフ会メンバーは実は美味しいもんだけにうつつを抜かしているわけではなくて、師匠の高い志に深く深く共感しているのですよ。

なんちゃって言っちゃってアワワワ…、なんですけど、決して無為に過ごしていたわけじゃない。友禅で猫絵という新しいジャンルを切り拓いたのは、紛れもなく小紅さんなのですから。

金彩って総仕上げ、いちばん大事なアクセントで、使い方しだいで絵や柄がキッと締まるものだと思います。(な〜んて偉そうに)
身近で熟達した先生から学べるのは素晴らしいことで、日本の伝統芸術の奥義をしかと盗んでくださいね。

今日は少し真面目に…。

Posted by: しゅう at 2008年11月05日 02:31

いや〜〜っ、朝になって読み返してみると、
なんて優等生的なこと言ってるんでしょ私、、、そのわりには漢字変換が無茶苦茶(笑)
食いしん坊倶楽部のマダム達は、さりげなくアホ言ってるけど、なかなかの経験の持ち主ばかりで、猫額でぽわ〜〜んと作家気取りしてる自分がものすごく恥ずかしくなります・・・・
でも、弱いあたくしでございますので、これからもどうぞ、鞭はいりませんから飴だけください(笑)

Posted by: 小紅 at 2008年11月05日 09:29

すごいすご〜い。
小紅さん尊敬します。何の技術も無い私は羨ましい限り。人間死ぬまで勉強って言いますが、どうしよう!もう亀のようにノロノロしか出来ません。歌詞を覚えるのさえ苦労しているのに。今までの越し方を反省しています"(ノ_・、)" グスングスン

Posted by: ピカコ at 2008年11月05日 17:35

そうだったのか〜!

いえね、なぜ一人で猫額が出来るのか、今さらながらに分かった訳です。

でもね、年齢を戻そうなんて思わなくてもいいじゃない。
年齢を重ねていくから出る味ってもんがあると思うんだけど。
若くて器用なのも居るだろうけど、自分に出来る事を積み重ねていけばいいさ。

ファンはいっぱい居るんだから。
でも、まだまだ足りないか・・・。
日本の伝統文化、友禅の事をもっともっと宣伝していかなくちゃいけませんね。
一ファンとしても、頑張りまっせ!

Posted by: Suzu at 2008年11月05日 19:25

ピカコさんには、オペラのお手伝いという立派な仕事があるではないですか♪

ピカコさんもSuzuさんも知り合って間が無く、まだまだ未知の部分がいっぱいですが、人生を前向きにしっかり生きて来られたように感じられて眩しいです!

猫額は、まだまだ稚拙なものですが、ライフワークとして頑張っていきます。どうぞ見守ってくださいな。12月は京都でグループ展、お正月早々には益子の「もえぎの招き猫展」、1月末には谷中猫町ギャラリー「お雛祭り猫展」に出展が決まりました。その後は丸善と・・・・お誘いがうれしくて引き受けてしまいましたが、、、プレッシャーで少しブルーな気分です。でも、来年は皆様にお会いできるチャンスが増えるかも・・・♪あ、会場でなくグルメ散歩のほうでね(笑)

Posted by: 小紅 at 2008年11月05日 23:55

何をおっしゃいます小紅ちゃん。長年培った技術は細胞の奥の奥まで覚えているのですからこれから、またその奥を勉強される小紅ちゃんに怖いものはありません。基礎はすべての基本です。同じことを続けなければ何も本当の事は何も見えてきません。アンテナを張っていたから金彩講習をキャッチされたのですねー。私も昔、仕事で看護婦さんの帽子を作る事になったのですが、その帽子の形が皆目分からず困っていたのですが、偶然つけたテレビで看護婦さんの帽子の原形が紹介されていました。人間って面白いです。

Posted by: kibi at 2008年11月06日 01:32

キビさん、またまたアメちゃんを〜〜ありがとう(笑)自信を無くしかけるとキビさんのビタミンコメントが届くんだ♪
でも、私はお返しに鞭を〜〜〜!作ってくださいよ着物姿の猫耳人形!キビさんは自分のすごさに気づいていないけど、魅せられたファンのためにつくらなあかんよ。

そうそう、困っているとタイムリーに救いの手が伸びてくるのはなぜかしらね。

Posted by: 小紅 at 2008年11月06日 11:57